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2005年11月25日
特殊化記号の二指
文法系の話題です。
【出てくる単語; 富士山,ひし形,北海道,準備,制度,お酒,アルコール。】
以前,「富士山」という単語系の話題の時に 次のような説明がありました。
富士山-図のように,二指で富士山の形を描きます。
ちなみに「二指」はしばしば「特殊化記号」
として用いられます。 この用法は今後の
文法系の話題で取り上げられます。
富士山
そこで今回はその「二指=特殊化記号」の説明です。
画像; 下は「ひし形」という手話です。
ひし形
ひし形 - 人差し指でひし形を空書しています。
しかしこれを人差し指と中指の「二指(にし)」にすると,「特殊化記号の微動(びどう)」と同じように,「(具象的なものを)抽象化する」という変化が加わります。 この場合「特殊なひし形のもの」という意味で「北海道」の意味が付されました。
北海道
北海道 - 人差し指と中指の二指でひし形を描く。
特殊化記号の二指=「(具象的なものを)抽象化する働き」
がついて「特殊なひし形のもの」=「北海道」の意味になった。
ほかにどんな例があるでしょうか?
画像; 「準備」と「制度」などが代表的です。
準備,(または「持ってくる」)
準 備 - 荷物を両手で「持ってくる」という
しぐさが「準備」の意味になりまし
た。
ではこれを「二指」にするとどんな手話になるでしょうか?
制度
「制度」という手話です。
制 度 - 「準備」という手話の手形を「特
殊化記号の二指」に変えます。
この「制度」という手話は「持ってくる」,「準備する」という概念とくらべ,より抽象性の高い意味になっています。 このように「二指=ほとんどが人差し指と中指」には「具象的なものを抽象化する働き」があり,これを「特殊化記号の二指」*と呼ぶことにします。
[ *まだその働きがすべて解明されていないので「抽象化のための二指」と呼ばないこととします。 働きを抽象化だけに限定しないためです。]
ほかにも「特殊化記号の二指」をもちいた手話の例はつぎのようなものがあります。
技術,鉄,大阪,沖縄,~らしい(「稲妻形」に二指をおろす),~かもしれない(「?」の形)。
では,すべての場合に人差し指と中指の「二指」には「特殊化」の働きがあるのでしょうか? そうとはかぎりません。 「お酒」,「アルコール」という手話がその例です。
①
お酒
ではこれを「二指」にすると,より「抽象化」された「アルコール」という手話になるのでしょうか?
②
お酒orアルコール
うえの②の画像は「二指」=「特殊化記号」と考えれば「アルコール」という手話になりそうですが,現在のところ「お酒」という意味で通っています。 つまり,お酒という手話は①と②という二種類の手話が存在するということです。
ひょっとすると化学や酒造の専門家の,あるろう者はすでに「アルコール」という意味で②を使っているかもしれませんが,まだ確認されていません。 この場合こういった事例は「未分化(みぶんか)」であるといえます。
では将来②は特殊化記号が意識され「アルコール」という意味になるのでしょうか? それも確実ではありません。 そうなるかもしれませんし,「指文字 ア + ①(あるいは②) 」で「アルコール」になる可能性もあります。 そうなるかどうかは化学,あるいは酒造の仕事をもつ専門家(のろう者)が決定してくれるでしょう。 参照-http://www.wombat.zaq.ne.jp/wanderers/
生命科学系の職種(研究・技術職)・学業に携わっている聞こえない仲間達で共同運営されるHP(農学部 ・ 薬学部 ・ 医学部 ・ 生物科学科など)
文法家が自説を前面に出し,意味づけするというのはことばの発生としては,やや「強引」な印象があります。 より自然な発生であればどんな形であれ定着するにちがいありません。
まとめ;
特殊化記号の二指=「(具象的なものを)抽象化する働き」
投稿者 jimukyokuchou : 2005年11月25日 00:11